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小2の子どもたちが創り出した舞台

劇団員が魔法の言葉をかけると・・子どもたちの動きがみるみる変わっていきます。

小さな魚の群れは、突然ぱっと大きく広がります。その動きに驚くマグロ。

小さくなったり大きくなったりしながら近づいてくる群れとスイミーたち。その目はみんな真剣そのもの。

 

マグロを追い返すんだ!その気迫がみなぎります。

 

群れとスイミーたちの迫力に、マグロも驚き、観客も息を呑みます。

たちまちいつもの体育館が、緊迫した海の中へ。群れとスイミーたちは渾身を込めてマグロへ立ち向かいます。スイミーは悲しみと怒りをマグロへとぶつけます。

「お前は僕の大切な兄弟を食べてしまった。大切な兄弟を・・・さあ、出ていけ!」

 

ついにマグロが去っていくと観客席の子どもたちから、思わず本気の拍手!!

 

 さて、劇団員がかけた魔法の言葉とは?手足の動きや表情を細かく指導したのでしょうか。

いえいえ、違います。

 群れとスイミーがどうしてここにいて、なぜマグロを追い出そうとしているのかを、子どもたちが納得できるように、さまざまな声をかけたり、時には自分自身が体を使って表現することで、子どもたちを「マグロを追い出すスイミーと群れたち」に変身させたのです。

変身した子どもたちは、自らの力で動き出します。表情が変わります。

そんな彼らの本気の表現を見て、観客の子どもたちも固唾を呑みます。そうして、見事にマグロを追い出すと、観ていた子の手が自然と動き、拍手が生まれたのです。盛大な拍手が・・・!

 

 生の舞台は、演じる者の心の動きが、見る者の心を動かします。子どもたちが創り出したのは、まさに生の舞台だったのです。

 

 こうして、子ども達から学びつつ、私たちもそんな心動かす舞台を子どもたちに届けたいとの思いをあらたにする日々が続きます。